豪華復刻版 少年王者 のラストとなります。 
ニューヨークで熱烈な歓迎を受ける真吾 「少年王者ザンパロ編」 へと続きます
 
 
 
 
 ★★★ 少年王者 ★★★ 
   以下 日本全国を飛び回り 資料収集に邁進されたtoppyさんの解説です。
  
 
山川惣治「少年王者」49年1~2巻目
初めて通して読む絵物語
もとは「おもしろブック」の創刊号より連載された
「少年ケニヤ」はいつかほんの少しは見たはずだが印象に残らなかったが
これから絵物語を追跡しようと考え、府立図書館にあるもの文庫版だから薄くていいだろうと
手始めに借りてみた(文学館のものは閲覧のみで借り出しはできない)

それほど期待もなかったが通勤の電車で読み出して引き込まれ、2日で一気に読みました
この作品で絵物語に初めて感動するという体験を得る

全10巻の物語が府立図書館には2冊しかないけれど、奈良市図書館には全巻あるようなので続いて借り出すつもり
それにしても絵物語は単行本も復刻も少なく、桃源社のものも所蔵がないらしい
読み物はまんがより時間がかかるが、気長に文学館で元雑誌に当たるしかないだろう
まあ、そういう風に思わせる内容を少年王者はたたえていました
ぱっと見た絵柄に引かれなかったのは、少女漫画の時と同じように慣れの問題でしょうか
他の絵物語と違って、簡潔な文章と絵が連携して流れるように読める構成は類を見ない

アフリカ、コンゴ奥地のマウント・サタン付近が舞台
ポト族の村で医業にたずさわる牧村博士はマウント・サタンの峰をこえてきた鷲がつかんでいた
緑色の粉ががんの特効薬になることを発見
粉のありかを探しにでかけるが、薬を独り占めにしょうとする悪徳商人のため親子とも、絶壁の谷底へ取り残される
救いを求めて村に戻った少年ザンバロはガラ族の襲撃にあい、村は壊滅、自分も奴隷にされてしまう
牧村夫妻は湖の畔に小屋を建て暮らし始めるが、ある日、ライオンLが赤ん坊をさらってしまう
赤ん坊は我が子を失ったゴリラのミラがライオンから救い出し育てることになる

10年たち、ゴリラの群れで育った真吾は、足のとげを抜いてやったことがきっかけで巨象ファラオと親しくなる
ライオンLは少年をつけねらっていたが、チャンス到来崖に追いつめ落ちたところをかみくだこうとする
慎吾の叫びで駆け付けた象の群れがLを踏みつぶしてしまう
Lの死骸を森に引きずり帰ると群れのゴリラは勇気をたたえ慎吾を少年王者と呼ぶようになる

2巻目はゴリラの群れを襲う巨大な赤ゴリラ
湖畔の小屋を訪ねた真吾は残されたナイフを武器に赤ゴリラに挑み片目をつぶす
荒れ狂う赤ゴリラから身をかわすところに嵐が起こり、争いどころではなくなる
湖畔に戻った真吾はそこで牢から脱走してきたザンバロと出会う
面影を認めたザンバロが発する「しんご」という名前で自分がそう呼ばれていたことを思い出す真吾
ザンバロから言葉を学び、湖畔に立つ墓碑銘から母愛子がなくなったことを知る
森に戻った真吾は再び赤ゴリラに追われる
落ちた遺跡から正義を愛する古代の王アメンホテップの霊が現れ赤ゴリラを撃ち伏せる
逃げ出した赤ゴリラを追って、ザンバロの助けもありのどにナイフを突き刺し倒すことができる
ゴリラたちが死骸を投げ込んだ湖からはプロントザウルスが現れ死骸を一のみ
アメンホテップは銃をうつと恐竜はさすがにひるんで湖へ戻ってゆく
  山川惣治「少年王者」4巻目~7巻目
ガラ族の大ワニガランビのいけにえにされるすい子
チーターはゴリラたちに知らせみんなかけつける
水の中の格闘の末
、ガランビを倒し、縛られたザンバロを助けるところでガラ族に取り押さえれる真吾だったが


豹のケルクがウーラに飛びかかりひるんだ隙にザンバロの縄を切る
続いて象の大群がガラ族に押し寄せ壊滅させる
逃げ延びたウーラはレオパード族の村に行き、酋長を言うなりにし、この村のシャーマン豹の老婆の所へ
たくさんの豹を手なずけている老婆の道具がひょうたん笛と見抜いたウーラは
笛を取り上げ豹に老婆を襲わせることでこちらも支配してしまう
一方、牧村博士を捜索に来たレービン博士たちは崖から綱をおろして湖に降りる
上への命綱は真吾の命を取るよう命じられ湖までやってきた豹の老婆に切られてしまう
応援の飛行機は湖に落ち現れた恐竜がつぶすし、頼みの無線機を老婆は水中に捨ててしまう
5巻目
そのころアメンホテップは町に出て、多大な宝を使って最新鋭の装甲車を作らせていた
崖の割れ目の向こうに牧村博士たちが建てた小屋を発見した一行
すい子は豹の老婆の仲間カバ男にさらわれてレオパード族の村へ連れ去られる
レオパード族が仕える怖ろしい肉食樹のえじきにされるところ、アメンホテップが車から火を発射して肉食樹を焼き払う
真吾はすい子を取り返す
ウーラとアメンホテップの決闘が始まるがレオパード族が押し寄せるので一時退却する
助けられたものの疲労が重なりすい子は熱病に冒され、真吾が緑の石を取りに行く
6巻目
真吾は帰り道、恐竜に襲われ大格闘が始まる
ゴリラたちも大岩を落とし、真吾は目をつぶす
それでも巨体の恐竜は暴れ回る、探検隊の銃でも打撃を与えられないが
アメンホテップが装甲車からロケット弾を発射、これが致命傷でようやく恐竜を退治することができた
薬はアメンホテップが拾い上げ、すい子に呑ませる
そこへレオパード族が侵入してきた真吾たちの森を焼く
7巻目は
動物たちが住む森がなくなったのでマウントサタンの麓から砂漠を越えて向こうの森へ大行進が始まる
真吾はゴリラ・象たちの先頭を進む
ザンバロは探検隊について町まで行くことに
途中、小人のウバギ族につかまってしまう
オウムのレッドが真吾に伝え、真吾は一人救出に向かうことにする
真吾一人なら、格闘の跡地に死骸がたくさんあると教えることではげたかを使って砂漠を越えることができるからだ
いよいよ最後の試練が・・
   山川惣治「少年王者」8巻目~10巻最終巻
ウバギ族の矢ぶすまとなるすい子
ワニの川を渡り真吾がかけつけ、ザンバロを助けて大暴れして救い出す
探検隊一行はボアのいる川を渡りボーア族の村に
ウーラは敗れたウバギ族を取り込み支配して一行を追わせる
アメンホテップが神殿に真吾を呼んで財宝をさずける話をしている間にボーア村では困った事態が
病気を簡単に治せる緑の石をほしくなった酋長の息子ポレラが泥棒と間違われ文男に撃たれ死んでしまう
みんなは密かに村を立ち去ったため怒った酋長が探検隊を追わせることに
戻った来た真吾は事情も分からないが探検隊が襲われているので加勢しなんとか浜辺まで助け出す
沖を航海中のオランダ貨物船にSOSを出してボートで拾ってもらう
真吾はボーア村の酋長から事情を聞き謝ることで探検隊も許されることに
海岸にかけつけた真吾は一行が去った後、疲労で倒れてしまう
倒れた姿だけ見た船の乗組員は真吾は死んだと勘違いして出航してゆく
9巻目
しばらくして息を吹き返した真吾は海に向かって泳ぎだし船を追うが速度でかなうはずもなく流されるところ海賊船に拾われる
こきつかわれているうち、警官で密偵として潜り込んでいるレオと親しくなり海賊逮捕に手を貸す
一方、キリンジンの港に着いた探検隊
豹の老婆がすい子をさらい隠れ家に連れ去る
チータが見ていてその場所を教えに戻りやってきた真吾を連れて行く
すい子はマントヒヒの餌食にされるところ真吾がかけつけヒヒを倒す
警察隊もかけつけ老婆は逮捕
ザンバロに投げつけられたカバ男は死んでしまう
仮面の下からガラ族の酋長だと判明
逃げたウーラの車にアメンホテップの装甲車が激突
あえなくウーラは死んでしまう、なんt正体は悪人商人だった
アメンホテップが仮面を取ると真吾の父、牧村博士
森で迷った博士は財宝の宮殿を見つけ、ライオンに襲われないように仮面マントを着ていたという次第
10巻
ニューヨークで熱烈な歓迎を受ける真吾
一方ザンバロはアフリカで元ズンダー国大臣のアリラと偶然出会う
その話によるとズンダー国王は王子ザラが虚弱に育つのを恐れ、ポト村へ密かに送り出す
ザラが18才の時、国に帰りザケ王がなくなりおじが独裁しているのを知る
ポト村へ戻ると、ザラは世話係になっていたフレドの娘コニラと結婚してザンバロが生まれていた
フレドもコニラも相次いでなくなり、その後の混乱で王子と離れてさまよっていたと教えられる
ザンバロは金もないがともかくアリラと故国を目指すことに
さて、ニューヨークではギャングにすい子がさらわれひさびさに真吾の大活躍、
ギャングを逮捕するところで「少年王者」は完結している
   山川惣治「少年王者ザンパロ編」54年
「少年王者」の終わりの方でザンバロが故国の大臣アリラに出会う場面があったが
ザンバロは王国を復興する国に戻ることになる
真吾もすい子も後を追うように中央アフリカへ
「ザンバロ編」がさほど人気がないのはアメンホテップとかウーラとか得体の知れない怪人がいないからでしょう
話の展開もいささか悠長
悪人といったら豹の老婆、ゴリラ人
おいぼれ老人のようになり人々にばかにされている元大臣アリラを救ったザンパロは二人でズンダー国をめざす
飛行機が不時着した真吾とすい子は、再びアフリカの地をさまようことになった
ザンパロは大怪物と戦っている時に真吾と出会う

1月号
砂漠でケラ族の襲来に遭う
2月号
密林へ入ると、サーベル虎が現れ襲ってくる
その騒ぎに、すい子はゴリラ人にさらわれようとする
真吾の親友、豹のケルクが現れ味方する
4月号
一度はしりぞけたサーベル虎だが、川を渡る時、襲ってくる
5月号
サーベル虎を退けると、今度はワニたちが襲ってくる
6月号
真吾の育て親のメラと再会する
サーベル虎は倒して、ゴリラ人が大きな敵となる
7月号
ゴリラ人は象を襲う、真吾が助けに入り逃げ出す
8月号
ゴリラ人と川で戦った真吾は流され、滝の落ち口で岩につかまり必死にこらえる
ゴリラ人はそのまま滝の下に落ちてしまう
9月号
真吾はザンパロがつたを投げ引き上げる
滝の下の水辺に打ち上げられたゴリラ人
土人がひきあげてみると、死んだようになっていたが、やがてむっくり起き上がる
10月号
ゴリラ人はズンダー国へ入って行く
ザンパロは縄を伝って滝の横の崖を降りると、見られずズンダー国へ入れることを発見する
12月号
ズンダー国の森を進むうち、ゴリラ人が真吾を樹上から襲う
真吾はゴリラ人を切るがなぐられ木下へ落ちて行く
切られたゴリラ人は逃げて苦しんでいると、あの豹の老婆が生きていてゴリラ人のところへ現れる
-130526

55年1月号では
豹の老婆がゴリラ人に真吾を襲わせる場面から始まる
ザンパロが加勢してゴリラ人を撃退する
ザンバロの故国ではポケナ王が統治していて、アリラはつかまってしまうがザンバロが戻ってくるのは秘密にしている
一方、老婆はすい子を見つけゴリラ人にさらわせようとする
ゴリラたちが守るがすい子はさらわれてしまう
真吾が救出に向かい、ゴリラ人は逃げ出すが結局すい子は城に連れ去られ
真吾は老婆の操る多数の豹に囲まれる
ザンバロが城に入りすい子を連れて逃げ出す
アリラはゴリラ人により引き裂きの刑と決まる
いったん逃げ出したザンパロはアリラを救いに行く北の大酋長のゴア軍勢と会う
ザンバロが王の印の腕輪を掲げるとみなひれ伏してザンバロに従う
一行は城に侵攻する
城の軍勢は多く、ゴア軍を包囲するが、真吾が呼びかけたゴリラや象の大群が軍勢に襲いかかりザンバロ側の勝利に終わる
12月号で完結
   山川惣治「少年王者」56年
56年「おもしろブック」連載の連載作では絵物語が漫画を圧していると書いた
その数作を紹介していくと、まず山川さんのもの

55年「少年王者」はザンバロを助けズンダー国を復活させた
ズンダー国からすい子とともに真吾がアフリカを旅して故郷をめざす話
1月号
大海竜編 マウントタウンをめざす真吾とすい子
2月号 ミニンガ部落あたりで大海竜に出会う
3月号 海竜に追われるうちはなればなれとなり、すい子は原住民に囲まれる
4月号 真吾はすい子をさがすうち
5月号 海竜から人が出入りするのを見て作り物としる
リーガル博士をつかまえて研究させている悪党一味がすい子をさらっていったらしい
6月号 研究室へ忍ぶ真吾、リーガル博士はヒトラーに仕え、アフリカ奥地で秘密に月も破壊する砲を作っていた
気が狂った博士は建物の中で砲を発射して爆発してしまう
すい子を救い出した真吾はリビルビルからイギリスを経由してアメリカへ

この後57年3月までメルビル原作の「白鯨」を絵物語で
57年4月号から「新少年王者」が12月まで連載される
 
   
山川惣治「新少年王者」57年
「おもしろブック」4月号~12月号
8Pで始まる初回は、アフリカから日本へ帰国の飛行機
両親は先に戻っていてその便には真吾だけが乗っていたが
その飛行機が墜落して海に沈む
真吾はサメと格闘してその死体にかじりついて意識をうしなっていた
漂流しているところを貨物船にすくい上げられるが
その船が密輸団の怪しい連中のもの
人一倍の力で大男も投げたおすため男たちも距離を置いている

7月号
到着した島ではとらわれの人がいると気づいた真吾
カモメに教えてもらい崖づたいに降りて鉄格子から牢の中のヒドレー博士とその娘アンナに話しかける
博士の発見したスクリューム元素を狙って誘拐してきたのが密輸団一味、この島は彼らの根拠地らしい
真吾は自分の記憶も戻っていないし、博士のすすめでしばらく様子を見ることに

11月号
助けの船が来たことで、断崖から博士たちを下のモーターボートにおろして脱出
自分は気づかれて落ちてしまうがそのショックで記憶が戻る
12月号
モーターボートで逃げるとジェット機が追ってくるが、ジェット機は海中に落ちる
駆逐艦がやってきて博士たちを船に乗せて安全を確保すると真吾は再び島に戻る
ダンカン一味を倒して、「新少年王者」は終了する
 以下は 豪華復刻版 少年王者
の紹介となります。